街の中でよく見かける「歩行者専用」の道路標識。
この標識は、その独特なデザインから怖いウワサや都市伝説の対象となっている。
この記事では、なぜそのような都市伝説が広まったのかを探求し、ことの真相に迫り、さらに歩行者専用の道路標識の本当の意味をわかりやすく解説しよう。
歩行者専用の道路標識とは?
歩行者専用の道路標識といっても、パッと思い浮かばない人もいるだろう。
まず最初に、歩行者専用道路標識の画像をお見せしよう。
都市伝説①誘拐犯と子ども説
歩行者専用道路標識に描かれている大人と子どもが、誘拐犯と被害者であるという都市伝説。
そう言われてみれば、そう見えなくもない。
3人ぐらいの人から、別々のタイミングでそう言われたら、信じてしまいそうだ。
◆都市伝説の内容
巷で語られている都市伝説は、こうだ。
子どもが男性に手を引かれて歩く、あの図案は、昭和40年代後半「道路交通法及び道路法の改正」にともない、一般公募で選ばれたデザイン。
採用されたのは関東在住のカメラマンのもので、彼は標識にふさわしい光景を求め、街を歩きまわっていた。
ある日の夕暮れ時、カメラマンは女の子と手をつなぐ、帽子をかぶった中年男性を見て、「これだ!」と、ひらめいた。
かわいい女の子とやさしく手を引く男性。愛情あふれる幸せな親子だと思いシャッターをきった。
この写真をもとにした図案が選ばれ、道路標識に採用。
それから、数日後…
カメラマンは、TVで誘拐事件のニュースを見た。
「!」
TVに映った連続誘拐事件の犯人は、あの日、女の子の手を引いていた男性だった。
彼が見た幸せそうな親子は、実は誘拐犯と被害者だったのだ。
…という内容だ。聞いたことがある人も多いのではないだろうか。
では、真相はどうだろうか?
都市伝説の真相
結論から言えば、作り話だ。
道路標識の図案を一般公募で決めることはない。
日本では、国際連合道路標識(International Road Signs)というものを一部採用している。
国際連合道路標識は、道路上で交通規則や情報を示すための
国際的に統一された規格だよ
日本の道路標識の多くは、国際的な規格に合致するデザインや記号を使用。
これにより、外国からの訪問者や観光客にとって、道路上の情報や規則が理解しやすくなっており、交通安全性を高める役割を果たしている。
ヨーロッパや、シンガポール、オーストラリアは国際連合道路標識を採用しているよ。
韓国やニュージーランドでは、一部採用。
中国やタイ、アメリカでは採用していないよ。
ただし、日本でも一部の道路標識や地域特有の規制において、独自の日本固有のデザインや記号が使用されることもある。
地域特有と言えば、
沖縄では「ヤンバルクイナ飛び出し注意」の道路標識があるぞ
歩行者専用の標識デザインは、西ドイツで作られ、国際道路標識の規格に準じて、日本でも用いられている標識だ。
ところが、1970年(昭和45年)頃、西ドイツのハイネマン大統領が「この図案は誘拐を連想させる」と発言した。
そのため、デザインが変更され、現在ドイツでは女性と子どもが描かれた標識になっている。
都市伝説の真相は、「誘拐犯に見える」という発言が、様々な人の口で伝えられ、尾ヒレがついて全く違う話になってしまった…ということであろう。
都市伝説②宇宙人と子ども
歩行者専用道路標識の絵は、宇宙人と子どもだという説。
これは、誰かが「あの標識は、宇宙人連れ去り注意だ」と言ったことから始まった、軽い冗談だ。
しかし、道路交通法を知らない人や子どもなら、信じてしまうかもしれない。
宇宙人だと言われれば、そう見えるよね(笑)
道路標識の色
道路標識は、示す内容によって色が違う。
- 赤=禁止、やってはいけないことを示している
- 黄色=警告、注意しなければいけないことを示している
- 青や緑=案内、道路番号や方角、道路情報など
あれが宇宙人と子どもだとしたら、
青い標識だから…
宇宙人から見れば、この地域の子どもは連れ去っても良いと思うかもしれないな
それ、都市伝説よりコワイから、やめて…
歩行者専用道路標識の本当の意味
この標識は、「歩行者等専用」の標識。車は通行してはいけません。
…という意味だ。
ここでのポイントは2つ。歩行者等の「等」と
「車」に注目してほしい。
それぞれ、何を指しているのか、解説しよう。
歩行者等の「等」に含まれるもの
歩行者というのは、「歩いている人」。では、「歩行者等」の「等」とは?
これは、時速6km以下で進むもののことで、
- 大きさが電動車椅子くらいの自動配送ロボット
- 電動1人乗り三輪車
- 1人乗り自動運転車
- 電動車いす
- シニアカー
などが含まれる。
歩行者等の等を自転車のことだと思う人が多いけど、間違いだよ!
車が指しているもの
車とは何を指すのだろうか?
車=自動車、原付、軽車両なのだが、タイヤ付きの乗り物全般を指している。
もちろん、自転車も含まれる。
歩行者専用道路標識のあるところを自転車に乗って通るのは、道路交通法違反となるのだ。
道路交通法では、二輪車(バイク)も自転車も、「車」になるのよ
関連記事:車と自動車の違いは?
歩行者専用道路を車で走行してしまったら?
通行が禁止されている道路を走行してしまった場合、通行禁止違反となる。
反則金 | 違反点数 | |
大型車 | 9000円 | 2点 |
普通車 | 7000円 | 2点 |
二輪車 | 6000円 | 2点 |
小型特殊 | 5000円 | 2点 |
原付 | 5000円 | 2点 |
自転車でも違反した場合は、「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」になるよ。
気をつけてね!
歩行者専用道路標識があっても通れる車は?
歩行者専用道路標識がある道路でも、通れる車がある。
それは、
- 警察署長の許可を受けている車
- 禁止の対象から除外されている車
歩行者専用道路に家や車庫がある場合などは、警察へ行って許可証をもらえば、通行可能に。
また、救急車や消防車は、禁止の対象から除外されている車だ。
ただし、許可を得ていても、歩行者専用道路を車で通るときは、すぐに停止できる速度で徐行しなければならないという決まりがある。
歩いている人は、歩行者専用道路に車が入ってくると思っていない。
だから、進入するときは、歩行者がいても、いなくても、徐行しなければならないのだ
徐行しなかった場合は、歩行者用道路徐行違反となる。
反則金 | 違反点数 | |
大型車 | 9000円 | 2点 |
普通車 | 7000円 | 2点 |
二輪車 | 6000円 | 2点 |
小型特殊 | 5000円 | 2点 |
原付 | 5000円 | 2点 |
まとめ
街でよく目にする歩行者専用道路標識、あやしげな都市伝説の真相と本当の意味はおわかりいただけただろうか?
最後に、この標識を理解し、違反をしないようポイントをまとめておこう。
- 歩行者専用の標識がある道路は、車で通行してはいけない
- 時速6km以下で走る乗り物は、タイヤがついていても歩行者扱いとなる
- 車には、乗用車やトラック、バイク、自転車などが含まれる
- 道路交通法では、自転車も「車」
- 警察が許可した車は、歩行者専用道路でも通行できる
- 救急車や消防車は、歩行者専用道路でも通行でも
- 許可を得た車でも歩行者専用道路では、徐行しなければならない
- 歩行者がいても、いなくても、徐行しなければ違反となる
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